平成23年度岡山県決算について(長文です)
投稿日: 2012年12月25日
予算編成状況についてですが、平成23年度当初予算は、厳しい財政状況の中、「岡山県行財政構造改革大綱2008」及び「岡山県財政構造改革プラン」に着実に取り組むことにより、巨額の収支不足を解消し、持続可能な財政構造の実現を目指すとともに、「平成23年度政策重点指針」に基づき、事業の「一層の重点化」を図りながら、優先的に取り組むべき喫緊の課題に対して、機動性を持ち柔軟に対応することにより、「快適生活県おかやま」の実現を目指していくこととして編成されました。
また、補正予算は、東日本大震災の関連経費、県立学校の耐震化を加速させるための経費、台風12号に係る被災者への支援及び災害復旧に要する経費などについて、所要の補正措置が講じられたものであります。
決算状況についてですが、一般会計及び特別会計を合わせた歳入決算総額は、9,426億2,997万余円で、対前年度比3.88%の減少、歳出決算総額は9,250億6,146万余円で、対前年度比4.07%の減少、歳入歳出差引額は175億6,850万余円で、前年度に比べ、12億4,465万余円、7.62%の増加となりました。
なお、翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支額は97億8,014万余円の黒字で、これから前年度の実質収支額を差し引いた単年度収支額は1億9,291万余円の黒字です。
また、県債発行額は、臨時財政対策債629億780万円を含め、総額1,049億481万余円で、年度末現在高は1兆4,076億4,080万余円となり、前年度末現在高と比べ159億9,766万余円増加しています。
財政指標をみると、前年度に比べ、財政力指数は0.03ポイント低下したものの、実質公債費比率は0.2ポイント改善、経常収支比率は2.6ポイント悪化、自主財源比率は1.5ポイント改善しています。
一般会計の決算に表れた主な特徴についてですが、歳入では、地方交付税、繰越金、繰入金、地方譲与税が増加した一方で、県債、国庫支出金、諸収入、県税などが減少したため、前年度に比べ、154億2,986万余円、2.23%の減少となりました。
歳出では、衛生費、災害復旧費などが増加した一方で、総務費、土木費、教育費、公債費、商工費などが減少したため、前年度に比べ、175億7,200万余円、2.56%の減少となりました。
まず、要望事項は、簡素で効率的な執行体制の整備と長期的視野に立った行財政運営についてです。
本県では、平成20年に策定した「岡山県行財政構造改革大綱2008」に基づき、職員定数の削減や事務事業の見直しを行うなどの歳出削減とともに、県税収入率の向上を図るなど歳入確保に取り組んでいます。平成23年度においては、特定目的基金からの繰替運用が全額解消され、財政調整基金への積立を行うなど、取組の効果が徐々に現れては来ているものの、給与所得水準の低下等を要因として、県税収入は昨年度からさらに減少しており、県独自の給与カットなどの臨時的歳入対策に依存した状況には変わりなく、県財政は依然として厳しい状況にあると言えます。
今後とも、速やかに臨時的歳入対策から脱却し、歳入と歳出のバランスがとれた持続可能な財政構造を確立するため、県税等の収入確保に全力で取り組むとともに、大胆な事務事業の見直しによる事務合理化や経費節減を行うことによって、行財政構造改革を着実に推進していただきたいと思います。
指摘事項の一つめは、収入未済の解消についてです。
一般会計と特別会計を合わせた収入未済額は、86億9,389万余円と、前年度に比べ、12億9,224万余円、12.9%減少しています。この減少は、主に岡山県畜産公社に対する貸付金や産業廃棄物行政代執行費用が不納欠損処理されたことに起因するもので、残る多額の収入未済については、市町村との連携を一層密にして、徴収体制の強化を図り、滞納額の縮減に努めるとともに、今後とも債権管理の徹底や収入未済の実態に応じて法的措置を検討するなど、全庁をあげて債権回収に取り組むことによって、収入未済の解消を図り一層の歳入確保に努めていただきたいと思います。
指摘事項の二つめは、繰越額の縮減についてです。
一般会計と特別会計を合わせた繰越額は、292億1,751万余円で、前年度に比べ9億1,395万余円、3.2%増加しました。
繰り越しの理由は、地元関係者等との調整の難航によるものや、国の補正予算に伴うものなど、やむを得ない要因もありますが、事業効果を早期に発揮するよう、計画的かつ効率的な事業執行に努め、繰越額の縮減に一層努力していただきたいと思います。
指摘事項の三つめは、不用額の縮減についてです。
一般会計と特別会計を合わせた不用額は、総額84億4,866万余円にも上っていますが、財政運営が厳しい中で県民のための施策がひとつでも多く実施されるよう、これまで以上に予算計上時に精度の高い所要経費の見積りを行うとともに、事業の進捗状況を的確に把握した上で補正等を行い、効率的な予算執行に努めていただきたいと思います。
指摘事項の四つめは、本県がおかやまの森整備公社に対し行っている短期貸付についてです。平成23年度の貸付額は626億9,900万円ですが、この貸付は実質的には長期貸付であり、毎年県からの新たな貸し付けを原資に、多額の遅延金を加算した上で返済されるという手法は国からも不適切と指摘されています。委員会の中でも現行の不適切な状況を指摘する意見があり、あらゆる方策を研究し早急に解消策を策定されるよう、昨年に引き続き強く求めます。
指摘事項の五つめは、事業成果に関する調査について、部局別の審査の中で出された様々な意見や要望の中から特に重要と思われる事項についてです。岡山県下の公立小中学校における学力向上や不登校問題の解決は、今や喫緊の課題であり、抜本的な対策の早期実施が求められています。 教育現場の声を丁寧に把握して原因を明らかにし、必要に応じて、予算措置や人的配置も検討するなど、的確かつ迅速な対応を強く求めるものです。 また、県政においては、非常に多くのイベントや普及啓発事業を継続実施していますが、その実施効果についてもしっかりと検証して、効果に疑問のあるものは廃止するなど、今一度の見直しが必要と思われます。
それから岡山県立大学についてです。独立行政法人へと移行してから5年が経ちますが、この法人化には、自立した学校運営を目指し、投入する税金を減らすことも期待されています。しかし現実には、まだ県への依存体質が強く残っているとの指摘があります。今後、県への依存度を小さくして、自立的運営が図られるよう、努力いただきたいと思います。
以上、要望・改善事項を指摘いたしました。繰り返しになりますが、毎年度委員会として指摘しているにもかかわらず、十分な改善が見受けられない部分があります。当局におかれましては指摘を真摯に受け止めて、改善に向けて全力で取り組んでいただくとともに、審査の結果を次年度の政策や予算編成に反映させることを求めます。今後とも厳しい財政状況が予測される中、行財政改革に着実に取り組み、事業の選択と集中によって県民の幸福度を高められることを願います。